×

⼩児⻭科におけるMetiSmileの有⽤性

佐藤大和

さとう歯科クリニック

はじめに:MetiSmileとは

MetiSmileは、Shining 3D Tech社が⻭科領域向けに開発した初の顔認識型スキャナーであり、顔⾯スキャンデータ、⼝腔内スキャンデータ、さらにCBCTによるDICOM形式の画像 データを統合することで、精密かつシームレスな佤想患者モデルの構築を可能にします。こ れにより、補綴‧矯正‧インプラント治療など、幅広い診療分野において⾼精度な治療計画 の⽴案が実現されます。

最新バージョンでは、動的咬合の解析機能が強化され、咀嚼運動や颚関節の動きに関する詳 細なデータ取得が可能となりました。従来の静的な咬合評価に加え、よりリアルな機能的診 断が可能となり、個々の患者に最適化された治療アプローチの設計が可能です。

MetiSmileは、Shining 3D社製の⼝腔内スキャナー「Aoralscan」との⾼い互換性を有するだ けでなく、他社製スキャナーのデータも容易にインポート可能であり、既存機器との連携が スムーズです。ハードウェア⾯では、「固定モード」と「ハンドヘルドモード」の2つの使 ⽤スタイルに対応しており、院内設備や診療スタイルに応じた柔軟な運⽤が可能です。特に 携帯性に優れたハンドヘルドモードは、院内でのチェア間移動や訪問診療などにも適してお り、診療の幅を⼤きく広げます。

*metismileは省スペースで設置することが可能で、ネジ⽳を利⽤してカメラ⽤等のアーム で撮影しやすくすることも可能。

⼩児⼝腔機能発達不全症とその臨床的課題

近年、⼩児⻭科領域では「⾷べる」「話す」「呼吸する」といった基本的な⼝腔機能が⼗分 に発達しない「⼩児⼝腔機能発達不全症」が、臨床上の重要な課題として認識されていま す。⼝唇閉鎖不全による常時開⼝、不明瞭な構⾳、咀嚼時の異常⾳などの症状は、単なる⽣ 活習慣の問題にとどまらず、顎顔⾯の⾻格成⻑の遅延、顔貌の不調和、さらには不正咬合の 形成へとつながる可能性があります。

従来の評俩法における限界

従来、⼩児の⼝腔機能に関する評価には、⼝腔内写真、顔貌写真、⻭列模型、視診‧問診な どが⽤いられてきました。これらは診断の—助となるものの、いずれも断⽚的かつ平⾯的な 情報であり、⼝腔機能の異常が顎顔⾯の⽴体構造に与える影響を精密に分析するには限界があります。

また、治療介⼊後の变化を客観的に評価する⼿段も乏しく、保護者への説明においても⼗分 な説得⼒を持たせることが困難でした。特に、成⻑期における微細な顔貌の变化や顎の発育 状況を定量的に捉えることは難しく、診断や治療計画が術者の経驗や主観に依存しがちであるという課題が存在していました。

デジタル技術による新たなアプローチ

こうした課題に対し、MetiSmileと⼝腔内スキャナーを組み合わせたデジタルアプローチ は、評価と治療計画の両⾯において⾰新的な可能性を⽰しています。MetiSmileは、⾮接 触‧⾮侵襲で顔貌の三次元データを取得できるため、成⻑期の⼩児に対する⼼理的‧⾝体的 負担を最⼩限に抑えつつ、顔⾯形態の变化を⾼精度に記録することが可能です。

⼝腔内スキャナーとの併⽤により、⻭列‧咬合‧軟組織の情報を統合的に把握でき、⼝腔機 能不全が顔貌や⻭列に与える影響を三次元的に可視化できます。さらに、定期的なスキャン データを時系列で重ね合わせることで、下顎の前⽅成⻑、顔⾯⾼の变化、⼝唇閉鎖⼒の改善 など治療の進捗を客観的に評価できます。これは、機能的矯正装置や⼝腔筋機能療法などの 介⼊効果を科学的に検証する上でも極めて有⽤です。

保護者とのコミュニケーションにおける利点

デジタルデータの視覚的提⽰は、保護者とのコミュニケーションにおいても⼤きな⼒を発揮 します。治療前後の顔貌や⻭列の变化を3D画像で⽰すことで、「この半年間でお⼦さまの 颚がこれだけ成長しました」といった説明が直感的に伝わり、治療の必要性や効果に対する 理解と納得を得やすくなります。

また、MetronTrackをはじめとする優れたソフトウェアの活⽤により、撮影直後に経時的变 化を容易に視覚化できる点は、MetiSmileの⼤きな利点の—つといえるでしょう。これによ り、保護者の治療への協⼒が得られやすくなり、通院の継続や家庭でのケアの質向上にもつ ながります。

まとめ

このように、MetiSmileは⼩児⻭科における診断‧治療‧コミュニケーションの質を総合的 に⾼める次世代ツールとして、今後ますます重要な役割を担うと考えられます。特に、成長 という時間軸を扱う⼩児⻭科領域においては、精密かつ安全な技術の導⼊が、治療の質を飛 躍的に向上させる鍵となるでしょう。