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SHINING3D社製3Dプリンターの活用について

SHINING3D社製品のシェア率が全国的に拡大しており、今年になって日本支社もできた。今後ますます発展していくことが期待される。さて、今回はSHINING3D社の3Dプリンターについて紹介したいと思う。3Dプリンターは歯科だけに留まらず、産業分野においても進化し続けている。よくわからない先生向けに3Dプリンターについて説明すると、フィラメント状になっている材料を熱で溶かし積層する方式(積層型)と液体状の材料に光を照射して造形する(光造形型)があり、現在は精度の高さと表面性状から歯科においては光造形型が採用されている。この機械を用いることで、クラウンやブリッジ、義歯からマウスピースまで様々なものが製作できるが、問題なく使用できるものもあれば、まだまだ課題が多く残っている部分もある。

図1 3Dプリンター一式とマウスピースの造形

当院で、3Dプリンターが活用する場面として、自費診療におけるブリッジリテーナー(仮歯)やマウスピースで使用するケースがあり、材料の削減や治療時間の短縮に大きく貢献している。SHINING3D社の3Dプリンターが他社より優れているのは、Cresplint(マウスピースを設計するためのソフト)やCreTemp(TeCを設計するためのソフト)、Accuware(サポート材を作るためのソフト)等のCAMソフトが無料で使用できる点である。すなわち3Dプリンターを購入すれば、その日から使用することが可能だ。今回はその中でもCresplintについて紹介していこうと思う。設計自体はとても簡単でAIを利用し、自動で生成し、微調整を行うだけで簡単に製作が行えてしまう。また、複数のマウスピースを同時に造形できるため、バキュームフォーマーを用いた製作より効率が良い。もちろん一から設計することも可能だ。今後アップデートによって細かい調整ができるようになる予定である。これらのソフトウェアは歯科医師や歯科衛生士、歯科助手の業務効率をあげるだけでなく、患者の満足度にも繋がる。実のところ、マテリアル(材料)も充実しており、ハードのマウスピースだけでなく、ソフトのマウスピースも製作することが可能だ。SHINING3D社では他社のマテリアルも使用できるよう連携されているため、多数の種類のマテリアルで造形することが可能である。マテリアルによって、強度や臭い、硬化時間等が異なるため、いくつか試しに造形してから、患者に使用することが望ましいと考える。

図2  Cresplint(マウスピース設計ソフト)を用いたマウスピースの設計

課題はまだまだ多いが、3Dプリンターは一部の歯科治療では問題なく使用することができると考える。海外ではこれらが多用されており、コピーデンチャーやインプラントガイドも問題なく使用できているため、いずれ日本でも普及していくことだろう。

今後の3Dプリンターはおそらく単色・単一材料ではなく、多色・多材料での造形が可能になってくるであろう。また、金属の3Dプリンターも開発されているそうで、今後は総義歯だけではなく、局部床義歯の製作も可能になると考えられる。ミリングマシンと異なる点は無駄な材料を使用しない点と、削った粉塵等が生じない点である。機械の精度と造形時間、サポートの位置については、今後の課題である。マテリアルに関しての問題点もあり、強度、臭い、造形時の重合収縮等の課題はまだ残っているが、近い将来3Dプリンターが活躍していくことは間違いない。

図3 実際に造形したマウスピースと装着した状態