“ 見える化 ” から “ 測定可能な客観的評価 ” へAoralscan プラーク検知機能の臨床活用

作成者: 吉久保典子|Jun 11, 2026 9:39:20 AM

見える化 から 測定可能な客観的評価

Aoralscan プラーク検知機能の臨床活用

                  小池歯科医院 歯科衛生士 吉久保典子

私は日頃の臨床において、SHINING 3Dの口腔内スキャナー「Aoralscan」を活用しています。その中でも特に大きな可能性を感じているのが、プラーク検知機能です。

従来、歯科衛生士による染め出しは、患者さんに磨き残しを見える化することが主な目的でした。しかし実際には、ミラー越しの説明だけでは理解が難しく、特に舌側や臼歯遠心部などは患者さん自身が把握しにくいという課題がありました。

Aoralscanのプラーク検知機能では、染め出した歯面をスキャンすることで、プラーク付着部位をデジタル上でカラー表示できます。さらに口腔内を立体的に回転させながら確認できるため、従来よりも直感的でわかりやすい説明が可能になりました。

特に印象的だったのは、長年メインテナンスに通われている60代女性の患者さんです。毎日丁寧にブラッシングされていましたが、下顎前歯舌側や上顎臼歯部に慢性的なプラーク残存がありました。これまでも染め出しによるブラッシング指導は行っていましたが、「しっかり磨いているつもりなのに、なぜ残ってしまうのかわからない」という状態でした。

そこでAoralscanによるプラーク検知画像を一緒に確認したところ、「奥歯はこんな状態なんですね」「実際には歯ブラシが届いていなかったんだ」と非常に驚かれていました。立体的な画像で確認することで、自身の磨き癖を客観的に理解しやすくなり、その後は補助清掃器具の使用にも積極的に取り組まれるようになりました。

また、この機能には私自身が提案したアイデアも反映されています。

1年前、私はSHINING 3Dに対し、「染め出したプラークをIOSでスキャンし、その付着面積をデジタル解析して数値化できないか」という提案を行いました。

従来のオレリーのプラークコントロールレコード(OLearys Plaque Control Record)は、歯科衛生士が1歯ずつ目視で確認しながら記録する方法が一般的であり、時間を要するだけでなく、術者の経験や主観による評価差が生じやすいという課題がありました。

そこで私は、感覚的な評価測定可能な客観的評価へ変換できないかと考えたのです。

現在、SHINING 3Dは実際にプラーク付着面積のデジタル解析と数値化に成功しており、一部ユーザーの間ではすでに臨床活用が始まっています。これにより、患者ごとの経時的比較やセルフケア改善率の可視化、術者間での評価基準の統一など、予防歯科における新たな可能性が広がっています。

この機能の大きな価値は、単にプラークを検出することではありません。「どのくらい付着しているのか」を数値で示せることにあります。

例えば、「現在の数値を半分にするためには、どの部位を重点的に磨けばよいのか」「数値が増加した原因はどの部位の磨き残しなのか」といった具体的な目標設定が可能になります。視覚的な情報に加え、数値という客観的な指標を組み合わせることで、患者さんへの説明やセルフケア指導の説得力は大きく向上します。

つまり、「見える化された情報」と「測定された情報」の両方を活用できるようになったのです。

私は、この機能の価値は単なる業務効率化に留まらないと考えています。患者さん自身が改善の過程を実感しやすくなることで、セルフケアへのモチベーション向上につながり、予防歯科の質そのものを高める可能性を秘めているからです。

口腔内スキャナーは、補綴や矯正のための機器という枠を超え、これからは予防管理や患者コミュニケーションを支えるツールへとすでに進化し始めています。

歯科衛生士の臨床現場から生まれた発想が、新しいデジタル技術として形になり、実際に患者さんの行動変容につながっていることに大きな喜びを感じています。そして今後も、こうした技術が予防歯科の新たなスタンダードへ発展していくことを期待しています。

私は歯科衛生士として、患者さんに「見せる」だけでなく、「測定し、共有し、継続的に改善していく」ためのツールとしてIOSを活用しています。Aoralscanのプラーク検知機能は、その可能性を大きく広げる技術であり、今後の予防歯科の発展において重要な役割を担うと期待しています。